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REPORT

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8ottoが生んだホットな空気に、いきなり冷徹なギター・ロックの刃を突きつけていたART-SCHOOL。甘いメロディを歌い上げる、木下理樹(Vo・G)のイノセントで危うげなヴォーカリゼーション。空気を切り裂く鋭利なギター・サウンド、そして鍛え上げられたタフなリズム・セクション。どこか背徳的な響きを持つART-SCHOOLのロックが横浜アリーナの大きな空間に響き渡る図は、それだけで1万人レベルの秘めやかな密会のような妖しい空気感を作り出していく。

黙々と登場し、“Boy Meets Girl”のソリッドな音を挨拶がわりに叩き出した後、 「こんにちはART-SCHOOLです」と木下理樹。“Real Love / Slow Down”“DIVA”まで一気に畳み掛けたところで一旦ブレイク。「実はですね、NANO-MUGENは僕ら第1回の時に出てて……それがもう5、6年前の話で」とMCで理樹本人が語っていたように、『NANO-MUGEN FES.』の第1回(2003年8月11日@新宿LOFT。他にはPEALOUT/椿屋四重奏/HOT SCLAP)にも出演を果たしていたART-SCHOOL。「久しぶりなので、今日は気合い入れてやってきましたんで」と静かな闘志を覗かせて、“MISS WORLD”。

《君をなくしたら 僕は死ぬだけ 君をなくしたら 生きていけるはずがない》という歌詞には、ここが真昼のフェス空間であることを一瞬忘れさせるような白昼夢のような感触があったし、“水の中のナイフ”“Under My Skin”“ロリータ キルズ ミー”の3連打には、心の痛い部分を曝け出して麗しのメロディとタフなサウンドに変えていくというロックのマジックそのもののような快感があった。「今日はアジカン呼んでくれてどうもありがとう。すげえ楽しかったです」と再び理樹のつぶやくようなMCを経て、ラストの“あと10秒で”。

殺伐とした詞世界の奥底からあったかさが滲み出してくるような、不思議な音楽体験。『NANO-MUGEN』に新たな1ページを刻みつけて、ART-SCHOOLの4人はステージを後にしていった。

01.Boy Meets Girl
02.Real Love / Slow Down
03.DIVA
04.MISS WORLD
05.水の中のナイフ
06.Under My Skin
07.ロリータ キルズ ミー
08.あと10秒で

文/高橋智樹 | 写真/中河原 理英