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Stereophonicsの出演直前、ゴッチがステージに登場して「みんな声を出していきましょう!」と四股を踏んでみせてアリーナ一同大爆笑だったのだが、あれは90年代UKロックを愛し抜いてバンドを始めたゴッチにとっては、UKの国民的バンドを迎えるための最大限の「礼儀」だったのかもしれない。
洋楽/邦楽の垣根を取っ払いたい!と洋邦混成ロック・フェスを主催し続けるアジカンにとって、「UKで最も愛されるバンド」Stereophonicsが『NANO-MUGEN』に来る!というのは、それだけ大きなことだったということだ。

ぶっとく鍛え上げられたUKオルタナティヴ・ロックの究極形!という感じの“Bank Holiday Monday”“The Bartender And The Thief”の直線グルーヴでぐいぐいかっ飛ばし、あっという間に横浜アリーナの空気を支配する。サングラス&革ジャンのケリーが不敵な佇まいで繰り出す、“A Thousand Trees”の頼もしいくらいにタフな歌、それをロックの彼方へ押し進めていくバンドのアンサンブル……どれをとっても最高! 
1曲終わるごとに大きな歓声がステージに向けて湧き起こり、思わずケリー(Vo・G)がニヤリとする一幕も。

“Have A Nice Day”の♪パッパッパパ、パッパッパパーパー、のコーラスをゆらゆら揺れながら楽しむオーディエンス。ケリーがサングラスを外して高らかに歌い上げたヘヴィ・バラード“It Means Nothing”、そして“Mr.Writer”の巨大なスケール感! “Just Looking”の伸びやかで美しいメロディで1万人を酔わせた後で、ケリー1人を残してメンバーが退場。年期の入ったストラトをかき鳴らしながら歌い始めたのは……“Maybe Tomorrow”! 10年以上闘い続けたきたサヴァイヴァーとしての貫禄と、今なお最前線のアーティストとしてUKのみならず世界のロックを揺り動かしている攻撃性が、そのハスキーで艶のあるケリーの声に滲み出している。最後はホット・ロッドなアメリカン・テイストすら感じさせるロック・ナンバー“Dakota”で完全燃焼! 

90年代UKロック生き証人、その「歴史」と「今」が提示された60分だった。

01.Bank Holiday Monday
02.The Bartender And The Thief
03.A Thousand Trees
04.Pick a Part That's New
05.Have a Nice Day
06.Superman
07.Vegas Two Times
08.It Means Nothing
09.Mr. Writer
10.Just Looking
11.Local Boy in the Photograph
12.Maybe Tomorrow
13.Dakota

文/高橋智樹 | 写真/TEPPEI