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2009.07.19(sun) 即日レポート!!

7月19日快晴!とはいかないまでも、まさに夏フェスらしい熱気に包まれた横浜アリーナ。
開演に先立って行われたオフィシャル・グッズ販売も大賑わいだし、昨年の11時よりさらに早い時間のメインゲート・オープンにもかかわらず、会場周辺にはすでに『NANO-MUGEN』のネーム入りのバッグを手にしたキッズが長蛇の列を成している。アリーナの中に入ると、オーディエンスの頭上を飛行船型の気球が優雅に飛び交い、洋邦ロックが吹き荒れる2日間の祭典への期待感をいやが上にも煽っている。

MC
12:00、『NANO-MUGEN FES.2009』開幕!
 もはやNANO-MUGEN名物の「自称:KY前説」ことMC先発部隊=山田&キヨシがステージに登場すると、会場から湧き上がる大歓声!
 そんなフロアを前に、山田が神妙な顔で語る。「まず、ここで重要なお知らせがあります。マニック・ストリート・プリーチャーズが、ニッキー・ワイアーの急病のため出演キャンセルになってしまいました」。そう、今回の洋楽アクトのメインを飾るはずだったマニックスが、無念のキャンセル。それでも「今日は9組の素晴らしいアーティストが登場します!」の声に、温かな拍手が場内に広がっていく。
OGRE YOU ASSHOLE
そして……今年のトレードマークでもある唐獅子風の緞帳が左右に開き、1発目のアーティスト=OGRE YOU ASSHOLEが登場! のっけから横浜アリーナに響き渡る、複雑かつ華麗に混ざり合う4人のアンサンブルが、「不穏と書いてポップと読む」的な快感を生んでいく。「こうやって、海外とか日本の好きなバンドを呼ぶのって、ミュージシャンにとっての夢だと思うんですよね。その夢に少しでも乗っかることができて、うれしいっす!」という出戸のMCが、今年の『NANO-MUGEN』の選手宣誓のように心地好く響き渡った。
清 竜人
続いて、アリーナ向かって左手のステージに、細く伸びるピンスポット・ライト。その先に立っているのは……この日の2番手、清竜人。日常のそこかしこに転がっている迷いや葛藤を拾い集めて、アコースティック・ギターとピアノの弾き語りで大きな祈りへと編み上げていくような、真摯で美しい音楽世界。5曲を歌い終えたところで、「えー、初めまして。清竜人です。今のが最後の曲で、これで終わりなんですけど」というMC。残念そうな嘆きの声と大きな拍手が同時に湧き起こっていた。
MC
3番手のNada Surf……の前に、「みなさん! 楽しんでますか?」という聞き覚えのある声。ASIAN KUNG-FU GENERATIONの凸凹MCチームその2、ゴッチ&建ちゃんの登場! 「朝だからね、みんな声出てない! 特に建ちゃん!」と相方をいじるゴッチ。そして、「発声練習しよう。まずは建ちゃんの3割増の声を聞かしてもらっていい?」というやりとりから、フロアを巻き込んでの「ホーッ!」という一大発声練習へと突入。
Nada Surf
「ウィー・アー・ナダ・サーフ・フロム・NY! ファースト・タイム・イン・ジャパン! ソー・エキサイテッド!」というVo・G=マシューのMC通り、90年代オルタナの生き残りにしてパワー・ポップど真ん中の3ピース=Nada Surf、まさにこれが初来日! “Hi-Speed Soul”の弾けんばかりのビートとバンド・サウンド! 珠玉の名曲“Whose Authority”の、アリーナ狭しと響き渡る麗しのコーラス! 米ドラマ『MENTAL:癒しのカルテ』主題歌“Weightless”の壮大なサウンドスケープ! 「ニホン、サイコー!」のマシューの声が、3人の手応えをヴィヴィッドに物語っていた。
 
Hard-Fi
続いてはHard-Fi! 昨年のフジ・ロックはアコースティック・ギターを手に、どちらかというとオーガニックなステージを展開していたHard-Fiだが、この日はのっけからロック・モード全開! 特に後半、不穏な電子音のシーケンスと「ウォーオーオー」の図太いコーラスから“Suburban Knights”へと雪崩れ込み、そこから“Hard To Beat” “Stars Of CCTV”と反骨精神のハードなうねりの世界へ突入すると、満場のフロアに湧き起こるハンド・クラップの嵐! 「アイ・ラブ・ユー!」と絶叫していたリチャードの声に、さらにオーディエンスの熱気が高まったことは言うまでもない。
MC
ここで再び山ちゃん&キヨシのリズム隊MCコンビが登場。キヨシが「荷物で席取りをしない! 山ちゃん怒ると怖いですよ!」と場内の笑いを誘いつつ、しっかりとフェスのオーガナイザーとしての注意喚起。そして、ネクスト・アーティスト=Ben Foldsについて「ベン・フォールズ・ファイヴの頃から好きだった」と語る山ちゃん。そう、『NANO-MUGEN』の2日間には、隅々にメンバーの情熱とルーツの欠片がちりばめられているのだ。
Ben Fold
ベレー帽にボーダーTシャツで、バンド・メンバーとともに颯爽とステージに現れたBen Folds、のっけから“Effington”でかっ飛ばす! 「ドウモ! ベンチャンデス」と砕けすぎなMCも、ピアノでここまでの打撃音が出るのか?ってくらいの爆音も、すべてが楽しい。“Hiroshima”では「ソシテ、アタマガー」と妙に上手い日本語で歌ってみせたり、通訳:ミキを招き入れて「ミキは身長190cmのアフリカ人の女性です」など適当な言葉を通訳させたり、フロアを2パートに分けてコーラスをさせたり、ついにはピアノに昇ってメチャクチャな指揮でオーディエンスを困惑させたり、と制御不能な音の魔術師っぷりを見せつけて、「ベンチャン」は意気揚々と去っていった。
the HIATUS
サウンド・チェックの間から早くも入場規制級の熱気を見せていたのが、the HIATUS。そして鳴り響く、“Ghost In The Rain”の破格のスケールのアンサンブル! 眩しいくらいにアグレッシヴなビート! そのまま“Lone Train Running”“Centipede”“Silver Birch”……と、その「崇高な衝動」とでも呼びたいような音でもって性急に駆け抜けていく。「やっと横浜アリーナ楽しくなってきたと思ったら、あと2曲しかないので……」の細美のMCに「ええー!」と悲鳴のようなオーディエンスの声、声、声。“紺碧の夜に”で歓喜のその先まで疾走し、最後は“Twisted Maple Trees”の凛とした響きを残して……終了。音楽の核心そのものに手を伸ばすような、最高のアクトだった。
MC
ここでゴッチ&建ちゃんが再び登場。「今回出れなかったManic Street Preachersのことを紹介したいと思って」とゴッチが語る。「ただ『キャンセル』っていうだけで流すのは、このフェスの趣旨に反するので」と、「誰にでもわかるマニックス」的解説とともに、99年の来日公演を山ちゃんと一緒に観に行った思い出を開陳する建ちゃん。「去年から来日交渉してたから、残念でね。その代わり、99年から01年までにやったライヴの、ライヴDVDの映像を借りることができたんで」というゴッチの声とともに、3面の巨大ヴィジョンに映し出されるマニックスの雄姿。いつか、またいつか!という思いが、アジカンの4人の胸には渦巻きまくっているに違いない。
THE YOUNG PUNX!
ステージの緞帳が動き、初めて向かって右側のダンス・ステージが露になると、そこには……すっかり『NANO-MUGEN』には不可欠な存在となった、ハル&キャメロンのルール無用・超高気圧型ダンスDJ集団=THE YOUNG PUNX!の姿が! “アンダースタンド”のマッシュアップ・ヴァージョン“Rock Star(Understand)”も、ブラック・ヒップホップの雄=Count Bass Dを迎えた“Ready For The Fight”の攻撃的なライムも、ジャングル・ビートとドラムンベースを同時再生したような“The Clapping Song”も、すべてが会場の歓喜のフェーダーを天井知らずに上げていた。
ASIAN KUNG-FU GENERATION


18:10、いよいよヴィジョンに「ASIAN KUNG-FU GENERATION」の文字が! 今年の1日目は初の「脱・ヘッドライナー」としての出演となるアジカン。1曲目に披露したのは、『NANO-MUGEN COMPILATION』収録の新曲“夜のコール”! そして、いつになく性急かつダイレクトに叩きつけられた“アフターダーク”に、オーディエンスは拳を突き上げ、歌い、跳ぶ! 横浜アリーナの地面が揺れる揺れる! 「『やってほしい曲アンケート』で1位になった曲をやります」といって披露した“絵画教室”、そして“フラッシュバック”“未来の破片”の必殺の流れまで飛び出す。一瞬たりともオーディエンスを離さない、という意志のカタマリのようなアクトだ。
「どうもありがとうございます」とゴッチ。「さっきも言いましたけど、マニック・ストリート・プリーチャーズが出れなかったのは相当ショックだったんですよね。フェスって普通払い戻ししないんですけど、マニックス好きな人のために払い戻しをしようと決断したんですけど……これだけ多くの人が集まってくれて、ありがとうございます」と目尻を光らせながら、声を詰まらせる。「今、日本にはフェスがたくさんあって、フェス・バブルとか言われてますけど。『NANO-MUGEN』はそのどれとも違う感じで……感激してます」。会場はたちまちあたたかい拍手と歓声で満たされていく。
「1バンドいなくなったんで、我々は時間を増やしました(笑)。ここからは増やした分です!」と、最後の3曲“Re:Re:”“ワールド ワールド ワールド”“新しい世界”を渾身の力で鳴らしきったアジカン。全17曲に及ぶ熱演は最初から最後まで、どこを切っても最高のステージだった。
ストレイテナー




そんなアジカンからバトンを受け取って、初のヘッドライナーを務めるのはストレイテナー! 20:00、まずは“Ark”の4人のダイナミックなグルーヴがギラギラと輝くロックの銀河を描き出していく……ご存知の通り、今年は大山純を加えて鉄壁の4人組として生まれ変わっての初出演。そのサウンドの変化を、“PLAY THE STAR GUITAR”や“Melodic Storm”といった3人時代の楽曲も含めて高らかにアピールしてみせた。「新曲やります!」と、8月5日発売の両A面シングルの曲“CLONE”を披露したのだが、これがすごい。バンド・サウンドの最初の一撃からサビのコーラスに至るまで、すべてが宇宙レベルのスケールの中で鳴っている。そして、同じく両A面シングルのファンキー&ハード・エッジな曲“DONKEY BOOGIE DODO”でオーディエンスをぐいぐいと横に揺らしていく。
「あの……たまにゴッチとか細美くんとかと呑みに行くんですけど」とホリエのMC。「この年になると、『今の世の中は』って話をするんですよ(笑)。信念とか努力ではどうにもならないことがある、みたいな話を。でも、音楽への信念と努力を大事にしてる仲間と、こうやって同じステージに立てることを、誇りに思います」と、盟友へのリスペクトを表明するホリエ。感動の拍手が広がる。“Little Miss Weekend”“TRAIN”“クラッシュ”3連打で、ダイナミックに本編終了。

アンコールで再びステージに姿を見せた4人……と、さらに4人! アジカンのメンバーも一緒だ! 8人編成で本当のラスト・ナンバー“Killer Tune[Natural Born KIller Tune Remix]”へ。フロアに巨大バルーンが舞う中、『NANO-MUGEN』の圧巻の1日目が終了!
2日目はどんなドラマが待っているのか? 今から目が離せない。
文/高橋智樹

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