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the HIATUS [JP]
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16:10、照明が落ちた瞬間に湧き上がる歓喜の声! サウンド・チェックの間から1Fフロア入口に長い入場規制の列ができるほどの熱気を呼んでいたのが、細美武士の新プロジェクト the HIATUS。ピアノのアルペジオに導かれて鳴り響く、“Ghost In The Rain”の破格のスケールのサウンドでライブは始まった。
細美&masasucksのギターとウエノのベースがデッドヒートを繰り広げるようなスリル! ジャンルの区別を遥かに飛び越えたところで鳴り響く、眩しいくらいにアグレッシヴなサウンドとビート! 1stアルバム『Trash We’d Love』がリリースされてからまだ2ヵ月ほどだが、初のツアーを通してめきめきと鍛え上げられてきた彼らのサウンドはすごい。
「『NANO-MUGEN』、初めまして! こんばんは! the HIATUSといいます!」という細美のMCを挟んで、そのまま“Lone Train Running”“Centipede”“Silver Birch”と、その「崇高な衝動」とでも呼びたいような音でもって性急に駆け抜けていく。たとえばキーボードと細美の2人だけで奏でられた“Little Odyssey”の《Your spaceship is gone》のフレーズが横浜アリーナを孤独な宇宙に変えた瞬間。たとえば“The Flare”の、文字通り炎のように燃えたぎるヘヴィーなリフと喉も裂けよとばかりの絶唱。たとえば“Storm Racers”のハード・エッジなサウンドスケープ……そのどれもが、ロックの「その先」の自由で壮大な音楽世界を描き出していた。
「やっと横浜アリーナ楽しくなってきたと思ったら、あと2曲しかないので」の細美の声に「ええー!」と悲鳴のような歓声が湧き上がる。「あと2曲、一生懸命やります!」という細美の声とともに、“紺碧の夜に”で向こう側へとオーディエンスをごっそり連れて疾走し、最後は“Twisted Maple Trees”の凛とした響きを残して……終了。身体の芯から痺れるほどの、圧巻のアクトだった。

■7月19日
01.Ghost In The Rain
02.Lone Train Running
03.Centipede
04.Silver Birch
05.Little Odyssey
06.The Flare
07.Storm Racers
08.紺碧の夜に
09.Twisted Maple Trees

文/高橋智樹 | 写真/TEPPEI