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80KIDZ (LIVE SET) [JP]
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the HIATUSのアクトが終了し、時計は18時を回っている。2日間にわたる『NANO-MUGEN FES. 2012』の祝祭空間もいよいよ残りわずか……という寂寞感を気持ちよく吹っ飛ばしながら横浜アリーナをさらなる狂騒感の彼方へと連れていくかのように、ダンス・ステージから響き渡る80KIDZの爆音! サポート・メンバーとともに、この日はバンド・セットで『NANO-MUGEN』に臨んだAli&とJUN、“Autobahn”“Voice”と次々に楽曲を畳み掛けていく。生の「バンド」としてのグルーヴ感と、それをあたかも世界最先端のロックDJが叩き出しているかのような獰猛な「ダンス・ビート」として聴かせるホットでクールな感覚が、彼らの音には共存している。シーケンスのような正確無比なタッピングとタイトな4つ打ちビートで唯一無二のダンス空間を描き出し、“Mind The Gap”ではマシン・ヴォイスとレーザー光線飛び交う爆裂エレクトロ・ワールドを生み出しーーといったハイブリッドかつハイパーなプレイでがっつりフロアを揺らしていく一方で、“Turbo Town”では熱く燃え盛るギター・サウンドで大爆走してみせたり、“Apollo 80”ではシューゲイズ的なロック・アンサンブルの宇宙を提示したり、といった「バンド」としての奥行きを提示してみせたりもする。インスト主体の表現だからこそ、歌詞の「意味」から解放された形で、それこそ国も地域も選ぶことなくオーディエンスを揺さぶる訴求力とダイナミズムーー身体も心も震わせる音像の数々からは、そんなロマンがびりびりと伝わってきた。2日目の夜を沸かせてくれた彼らの雄姿に、いつまでも熱い拍手喝采が送られていた。

■7月16日

  • 01.Intro
  • 02.Autobahn
  • 03.Voice
  • 04.Turbo Town
  • 05.Mind The Gap
  • 06.Esquire
  • 07.Red Star
  • 08.Apollo 80
  • 09.Disdrive
文/高橋智樹 | 写真/TEPPEI、古溪一道