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秦 基博 [JP]
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アコースティック・ステージにたった1人で現れた、『NANO-MUGEN』初登場の秦 基博。アコギの調べとともに歌い始めた1曲目“朝が来る前に”の、ハートフルでエモーショナルな歌声! オーディエンスの驚きと感激が、横浜アリーナの空間に一瞬で広がっていく。「みんな、あの……楽しんでるんでしょう。楽しんでるんじゃないかなあ、って思ってます。伝わってきてます」という控えめなMCとは裏腹に、いざ“青い蝶”の演奏に入ると、その歌の化身のような佇まいでオーディエンスの視線を釘付けにしてみせる。誰もが身動きも忘れたように、彼の姿に魅入られている。
ピシッと張りつめるような会場の空気を、「アジカンさんとはですね、横浜のレコーディング・スタジオでよくお隣さんになるという縁です。大きいスタジオ使ってるんで、きっと美味しいご飯たべてるんだろうなあ、っていうのをのぞき見て『ああそうか』と受け止めて帰っていくっていう(笑)」「僕も横浜なんですけど。この横浜でやってるナノムゲンフェスティバルに……ナノティバルに呼んでいただいて嬉しいです(笑)。これからもティバっていただけたらと」といったユーモアあふれるMCで、会場の空気をほぐしてみせる。それによって、続けて歌い上げていく“やわらかな午後に遅い朝食を” “鱗(うろこ)”の高らかなメロディが、オーディエンスの心のより奥深くまで届くようなーー音楽というコミュニケーションがより深いレベルで実現するような確かな手応えが生まれている。歌の力だけでなく、その人間力で「アウェイ」を「自分の居場所」に変えてしまう秦 基博の真価が垣間見えた場面だ。
「さっき、(ストレイテナーの)ホリエさんが挨拶に来てくださって。『“アイ”が好きです』って言ってくださったんですけど、今日やる予定がなくて。急遽、最後の曲を“アイ”に変えたいと思います」。最後の“アイ”の極上のメロディがひときわ強く、凛と広がっていく。爪弾くアコギの響き、《その手に触れて 心に触れて》と、大切なものだけをじっくり抱き締めるような歌詞……たった5曲ながら、横浜アリーナを確かな感動で包んでいった。

■7月15日

  • 01.朝が来る前に
  • 02.青い蝶
  • 03.やわらかな午後に遅い朝食を
  • 04.鱗(うろこ)
  • 05.アイ
文/高橋智樹 | 写真/TEPPEI、古溪一道