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清 竜人 [JP]
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正面左側のステージに登場したのは、この日の2番手=清 竜人。細いピンスポット・ライトのみの仄暗いステージで、まろやかなアコースティック・ギターの調べとともに奏でた1曲目は“Morning Sun”。時に激しく、時にナイーヴに流れる海風のような彼のヴォーカリゼーションに、ここがインドアのフェス会場であることを危うく忘れかける。息を呑んで見守る1万人のオーディエンスに、続けて“あなたにだけは”を静かに、真摯に歌いかける清 竜人。《例えば僕が虫に変えられても それでも あなたに歌う》……吐息やモノローグがそのまま歌になったような、極めてパーソナルな手触りのこの曲が、横浜アリーナの巨大な空間を静かに、そして確かに侵食しているのがわかる。
満場のフロアを見回して「ふーっ」と大きく深呼吸した彼が歌い始めたのは“ジョイフル”。アグレッシヴなコード・ストロークと、超速ラップのような歌い回しと、英語と日本語が秒速でカットバックされる独特の歌詞が混然一体となって駆け抜けるこの曲が、とてもギター弾き語りとは思えないほどのスリルをもって響いてくる。そして、ピアノ・キーボードの前に座って歌い上げるのは、《0か100かの自分自身など 馬鹿にされる時代かい?》というヘヴィな自問自答……“違う”の歌詞の1つ1つが、聖歌のように厳粛に、そして福音のように優しく響く。
ピアノに向かったまま、「ヘルプミー」と切なく繰り返す新曲を披露したところで、ようやくMCする彼。「えー、初めまして。清 竜人です。今のが最後の曲で、これで終わりなんですけど」という声に「えーっ!」と場内から湧き上がる戸惑いと嘆きの声。「また会えるのを楽しみにしております」と朴訥と語って、退場。その背中に向かって、改めて大きな拍手が湧き起こった。

■7月19日
01.Morning Sun
02.あなたにだけは
03.ジョイフル
04.違う
05.ヘルプミーヘルプミーヘルプミー(新曲)

文/高橋智樹 | 写真/TEPPEI