Artist

the HIATUS [JP]

report

各ブロックに次々と入場規制がかかり、アリーナ全体が異様な熱気を見せる中、the HIATUSの5人がステージに登場! アコギを構える細美武士&masasucks、1曲目に披露するのは、リリースしたばかりのマキシ・シングル『Hatching Mayflies』から“Snowflakes”。真夏日の横浜アリーナを凍てつかせるような冷徹な音の粒子を放射しながら、超満員の会場を心の芯から奮い立たせていく5人。そして急転直下、“The Flare”の紅蓮のサウンドでオーディエンスの魂に一斉点火! この日演奏した全9曲のうち“The Flare”以外の8曲を、最新マキシ『Hatching Mayflies』の3曲と2ndアルバム『ANOMALY』の楽曲で構成し、まさに最新型フォーマットのthe HIATUSを見せつけた5人。“The Flare”も、そのアレンジがよりダイナミックかつ色鮮やかにブラッシュアップされていることがわかる。ダーク&ワイルドな“Monkeys”から、ピアノの壮麗な響き&ヘヴィなビートとともに人間の内面の奥深くへと潜り込んでいく“My Own Worst Enemy”まで一気に駆け抜けたところで、「こんばんはthe HIATUSです!」と細美武士。その戦慄の音像の緊迫感に支配されていた会場の空気が、「ああー、楽しい! ありがとうございます! いい土曜日になるといいね!」という満面の笑みとともにホッとほぐれていく。「結構、あっという間に終わっちゃうんだな。嫌だな!」と言いながら、再び細美がアコギに持ち替え、最新マキシからの曲“Bittersweet / Hatching Mayflies”へ。真っ白な静寂そのものがびりびりと震え始め、その振動がやがて凛とした轟音へと編み上げられていくような、ミステリアスかつマジカルな名曲。“西門の昧爽”を一言一言噛み締めるように歌い、「シーンとしなくて大丈夫だよ!」と“The Ivy”の轟音でさらなるクライマックスめがけて歩を進めるthe HIATUS。硬質なサウンドを響かせる“The Brainwasher”も、壮麗なアンサンブルで世界を染め上げる“Insomnia”も、その1つ1つが音楽の驚きとスリルとスケール感を放っていた。最高の音楽体験だった。

■7月16日
  • 01.Snowflakes
  • 02.The Flare
  • 03.Monkeys
  • 04.My Own Worst Enemy
  • 05.Bittersweet / Hatching Mayflies
  • 06.西門の昧爽
  • 07.The Ivy
  • 08.The Brainwasher
  • 09.Insomnia
文/高橋智樹 | 写真/古溪一道