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2日目午後の「DJ & ACOUSTIC STAGE」に響き渡る、ローズ・ピアノの音色。そして、心地好さの中にも野性味を存分に感じさせるジャム・セッション……日本のインスト・ジャム・バンドの至宝、SPECIAL OTHERS! 前にもアジカンのツアーのオープニング・アクトで登場したこともある彼ら、実はアジカンと同じくここ横浜を拠点に活動を展開してきたバンドでもある。

1曲目は“STAR”。ローズ・ピアノ、オルガン&ロータリー・スピーカー、フルアコのギター、ウッド・ベースという60年代70年代ジャム・バンドのような編成で、ジャズやソウルなどオールド・ロック色の濃いテイストの音を紡いでいく4人。しかし、そんな彼らが鳴らすのは紛れもなく「今、ここ」の音楽。開放的なビーチではなく、澱んだ都市の風景に爽やかな一陣の風を吹き抜かせていくような不思議な質感が、彼ら4人のサウンドにはある。

「初めてのNANO-MUGEN、とても楽しみにしてました!」と芹澤(Key)。続けてDr・宮原の「4人とも高校の同級生なんだけど、岸根高校っていうんだけど、ここから歩いて5分ぐらいのところにあるんです。みんな遊びに行ってください!」の言葉にすかさず「ダメだよ!」と突っ込んだ芹澤。さらに続けて「横浜アリーナのすぐ隣に貸しスタジオがあって、そこで練習してたんだよね……アジカンのおかげでここに立てました! ありがとう!」という言葉に、あたたかい歓声が湧き起こっていく。

バンド初の歌ものシングル曲だった“Laurentech”、スペアザ流のダンス空間を演出していた“AIMS”……と、じっくりゆっくりと1万人を揺り動かしていく。「すごい楽しかったです! SPECIAL OTHERS覚えて帰ってください!」とラストの“BEN”へ。激しいローズ・ピアノのヴァイブ。

派手ではないがじっくり何かを呼び起こすようなドラムソロ。ウッドベースのふくよかな重低音が1万人を揺さぶり、クライマックスでは芹澤&柳下(G)の2人で歌をハモり、芹澤が帽子を振り落とす熱演を見せ……4人で静かに染み入るようなエンディングを迎える。どこを切ってもホットでクールな至上の30分間だった。

01.STAR
02.Laurentech
03.AIMS
04.BEN

文/高橋智樹 | 写真/中河原 理英